今日も海沿いの公園でたくさんの猫たちに出会ったけど、全然シャッターを切っていない。
安全な、無難な猫の写真を撮るんだったら、私じゃなくても良い。
空振りだっていい。
五感を駆使し、シックスセンスを頼りに歩き、待ち、疲れ果てて帰る。
それが私の撮影スタイルだから、それでいいのだ。
夕方の渋滞を避けようと、早々に切り上げ帰途に着いた。
フロントガラス越し、枯れ草に覆われた空地の向こうの夕日が綺麗だった。
「ここに猫がいたら絵になるのにな~」
人家も無く、倉庫ばかりで人影も無いこんな場所に、野良猫がいるはずも無い。
誰もがそう思うような場所だった。
「野良猫」は野生動物じゃない。
毎日、優しい人にご飯を貰わなければ生きていけない。
人々の暮しのちょっとした隙間でひっそりと生きているのだから、
こんな生活感の無い埋立地にいるはずも無い。
でも、どうしても、確認したかった。
路側帯に車を止めて、EOS20DにEF70-200mmを付けて、海の方へ歩いてみた。
そう、撮る気満々で。
「やっぱり!」
夕日の向こう側から、茶トラが悠々とこちらに向かって歩いて来た。
その「映像」は、まるで映画のワンシーンのようだった。
突然の出会いに、マンガのように震えが止まらなかった。
不思議と、こんな時はマニュアルフォーカスでも歩いてる猫にジャスピンになる。
人間の集中力って凄いと思った。
〈つづく〉