ヤバイと思った。
10枚位撮れただろうか。
茶トラは、1分程私を見定めるとクルッと向きを変え帰って行く。
「何?」
訳も分らず、とにかく後を追った。
枯れ草の空き地の向こうは運河だった。
まるで「ついて来い」と言わんばかりに時々振り返りながら
彼女は来た時と同じように迷いも無く歩き続けた。
どこの空き地もそうだけど、ここも不法投棄の家具が散乱している。
そのせいで、見通しが利かない。
スチール製のオフィス棚が散乱した一角で彼女を見失った。
「うっ!」
そこには、若い猫達が多数、
冷たい海風に震えて、じっとうずくまっていた。
辺りは暗くなってきた。
情況が把握出来ず、私はうろたえた。
「こいつらのご飯を何とかしないと、、、」
今まで野良猫にご飯などあげた事など無かった私が、
生まれて初めてそんな衝動に駆られた。
自分でも不思議に迷いが無かった。
「弁当でもなんでもいいさ」
急いで車を走らせ、コンビにに向かった。
コンビニで普通にキャットフードが売っているという事実を、
この時初めて知った。
〈つづく〉