ロードマップじゃない。
一枚の大きな紙に、千葉県全体が印刷されている昔っぽい地図だ。
そこには丁度「東京湾」がすっぽり収まっている。
そう。神奈川県から東京、そして千葉県へと東京湾の海岸線が全て印刷されている。
パソコン地図やカーナビの画面では全体が見渡せないのでダメ。イメージが喚起されない。
少年時代から、地図と時刻表を眺めるのが好きだった。
深夜までプランを練って「未だ見ぬ土地」に想いを馳せてた。
紙の地図を見て、想像して、印を付けていく。
そんな作業が、五感を刺激してクリエイティブな発想がわくのだと思う。
だから私は、セレクトした写真は全てプリントにしてみる。
手でめくって、並べてみて、拙いものは破り捨てて。
何日か、何年か経ってから見返して。
足りないものがたくさん見えてきて、そしてまた撮影に行く。
今は、見知らぬ絶景より、猫たちの日常が普通にある景色に憧れる。
この漁港の猫は?あの公園の片隅に猫がいそうだな。
こうして毎週末、東京湾岸に通い詰めた。
地図はあっという間に印だらけになって行った。
<つづく>