2023年5月3日水曜日

原点

 



16歳の冬休み、どうしても五能線の混合列車(客車と貨車が混結された列車)に乗りたくて東北ワイド周遊券を片手に旅に出た。ダウンジャケットは当時は高級品で、当然高校生の私はセーターとウィンドブレーカーのみでで寒かったろうにその記憶は無い。
が、情報も少ない時代、未知の冬の東北に16歳の貧乏一人旅は無謀だと心配し、先輩が最寄り駅まで見送りに来てくれたのがとても照れ臭かったのはよく覚えている。

念願の五能線で最初に撮影した場所は何故か海ではなく内陸。
多分、整然と並ぶ通信ケーブルを支える電柱に惹かれて途中下車したのだろう。
なんのハレもない場所、線路端でひたすら列車を待っていると、寒そうに手をこすりながら女子高生が線路を歩いてやってきた。

レンズはFD135mm+2倍テレコンだったかな。
当時は、KODAK「TRI-X」というISO400のモノクロフィルムを粗粒子効果狙いでISO1600に増感現像して使用するのがマイブームだったので、かなり絞っていたと思うのでピント合わせはざっとでOK。電柱美が気になって仕方なくこのような構図になったのか、純真な青年の照れがこういう画面にしたのかは不明です、、、が、その後も沿線で「粗い」写真を撮影して、手ごたえを感じた旅でした。

高校の鉄道研究部に所属していた私は、後日部活の発表会でこの旅のプリントを持っていったら、「鉄道写真を舐めてるのか!もっと真面目に撮れ!」と恫喝されたことが、今でも忘れられません(苦笑)

あれから40年近く経ちましたが、今でも写真表現に於いて「粒子」を大切にしているのは、恐らく若く何も知らない時に刷り込まれた「感性」なのかな、と思っています。
そして、そんな10代の私の未熟な感性を評価し支えてくれたI先輩、兼部で所属していた写真部の土門拳に心酔していた顧問のN先生のアドバイス・応援に感謝しています。

※今日の1枚は展示作品ではありません※

フジフイルムフォトサロン公式HP
https://fujifilmsquare.jp/exhibition/230505_02.html