2023年4月28日金曜日

素の夜間鉄道写真

 

会期まで1週間となりました。

本展の作品は、「夜の鉄道写真」ですが、天の川星景も、コンポジット合成も無い、素の走行写真です。

ソフトウェアでのノイズ処理もせず、純正RAW現像ソフトのみで、むしろ「良いノイズ」は積極的に残して現像。悪くないノイズはデジタル粒子として作画に活用し、銀塩印画紙の粒子との相乗効果でノスタルジックな写真に仕立てています。

また、東京ミッドタウンにあるギャラリーでの鉄道写真展ということで、鉄道写真にご興味が無い方にも「鉄道旅」の雰囲気を楽しんで頂けるように意識して組んでいます。

GWの後半のお忙しい時期とは存じますが、ご高覧頂けましたら幸いです。

本日の1枚は、1987年の天北線の急行「天北」のタブレット交換シーン。
写真展には、このカットではなく別日に同じ場所で撮影したもう少し曖昧な写真を採用しました。
コロナ過で外出制限がかかっていた時期に、ポジをデジタル化していて気が付いたのですが、投げられたタブレットがうっすらと軌跡を描いて写っていました。


フジフイルムフォトサロン公式HP
https://fujifilmsquare.jp/exhibition/230505_02.html

2023年4月27日木曜日

「夜汽車の旋律」出展作品より 2022年2月撮影の飯山線

 2022年の冬、津南町では16年ぶりの積雪4メートル超えと大雪に見舞われました。
撮影場所は少し下った飯山市になりますが、それでも150cmは積もったでしょうか。

飯山線と言えばこの場所と森宮野原駅付近が鉄板の撮影地にはなりますが、列車の通過時間(季節)・降雪量によって全く異なるイメージになるのが楽しくて、毎週末通い詰めました。

大雪過ぎると運休になるので(昨シーズンは私は1/2の確率で運休に逢いました)中々イメージ通りには撮らせてもらえませんが、、、

この日はブルーモーメントの時間!雪粒の前ボケがうまくシンクロ!して列車にスポットライトが当たるような思い描いたシーンになりました!

狙っても撮れないシーンが、意図を超えて撮れた時の魂が震える感覚が忘れられず、
同じようなな場所・季節・時間に通ってしまい、同じような写真ばかり撮っています。

でも、それで良いと私は思っています。
好きな物を好きなように撮るだけ。

それでも、その写真の塊は一つのストーリーになるはずだから。

本写真展は、そんな作品を集めた写真展になります。

富士フイルムフォトサロン公式HP
https://fujifilmsquare.jp/exhibition/230505_02.html













2023年4月26日水曜日

展示作品より 濃霧を切り裂くDD51 745

  「夜汽車の旋律」出展作品より


1995年磐越西線の臨時列車の写真になります。

当時はポジフィルムだったので、その場ではどのように写っているか確認出来ませんでした。

デジタル時代の人には信じられないですよね。

週末撮影したポジを出勤前に堀内カラーに入れて、その日の夜に現像を受け取るのが毎週のルーティーンでした。


この日は、DD51 745の三つ目が来ることはわかっていましたが、現着してあまりにも深い朝霧でピント合わせも不可能。NewFD24mmF1.4で、∞少し手前に置きピンして捉えました。

ファインダー内では真っ白の中に白く強いハイライトが滲んだ感じにしか見えず、あぁ上手くいかなかったな、、、と諦めた1枚でした。


しかし、、、

上がったポジをライトボックスに乗せてスイッチを入れると、、、なんとブルーの濃霧の中にタングステンのヘッドライトがしっかり写っていて!思わず小さくガッツポーズしました。


上手くいったと思った時のまさかの落胆、、、

思いがけず、意図せず撮れてしまった時の歓喜!

結果がその場で見えないというのも、当時の写真の楽しみ方だったような気がしてます。

富士フイルムフォトサロン写真展公式HP
https://fujifilmsquare.jp/exhibition/230505_02.html






2023年4月17日月曜日

展示作品制作について

 今回は富士フォトサロンさんでの展示ということで、展示作品は富士フイルムの銀塩プリント限定となります。

ねこ写真で個展は多数開催してきましたが、2007年のキヤノンギャラリーさんでの「東京湾岸のねこたち」を銀塩プリント(A3)で製作して以降は、全てインクジェット出力でした。
が、その銀塩プリントも会社にあった印刷機で、インクジェットも全て自分でプリントをコントロールしてきたので、、、

今回は、大判の銀塩プリントになりますので、個展のプリントを初めて全てプロラボさんにお願いすることになりました。

今までは何の苦労もなく40~60枚の展示プリントが出来ていたのですが、、、
今回は先ずは出力機の傾向(もはや癖と言いたい)を把握するところからスタート。

意外と知られていませんが、銀塩プリントの再現域は8ビットにも満たないので、今回のテーマのような「闇」の微妙なトーン(0~20)や、ヘッドライトの光のニュアンス(240~白飛び)の再現幅が狭く、本当にピンポイントの職人技の調整が必要。

クリエイトの担当者Mさんと打ち合わせして、今回ばかりは自分でデータをコントロールするのは不可と判断、クセモノの印刷機の特性を熟知した職人さんにお任せすることにしました。

最新のデジタルカメラと、超高性能レンズのキレキレのデータと、
少し曖昧でデータが圧縮され端折られた銀塩プリントとの±で、
理屈を超えた郷愁を誘うプリントに仕上がりました!