2025年5月27日火曜日

【LIFE 写真展によせて: 004】 衝撃。

  ヤバイと思った。


10枚位撮れただろうか。

茶トラは、1分程私を見定めるとクルッと向きを変え帰って行く。


「何?」

訳も分らず、とにかく後を追った。

枯れ草の空き地の向こうは運河だった。

まるで「ついて来い」と言わんばかりに時々振り返りながら

彼女は来た時と同じように迷いも無く歩き続けた。


どこの空き地もそうだけど、ここも不法投棄の家具が散乱している。

そのせいで、見通しが利かない。

スチール製のオフィス棚が散乱した一角で彼女を見失った。


「うっ!」

そこには、若い猫達が多数、

冷たい海風に震えて、じっとうずくまっていた。

辺りは暗くなってきた。 

情況が把握出来ず、私はうろたえた。


「こいつらのご飯を何とかしないと、、、」


今まで野良猫にご飯などあげた事など無かった私が、

生まれて初めてそんな衝動に駆られた。  


自分でも不思議に迷いが無かった。

「弁当でもなんでもいいさ」 

急いで車を走らせ、コンビにに向かった。


コンビニで普通にキャットフードが売っているという事実を、
この時初めて知った。


〈つづく〉