衝撃的な出来事に興奮してあまり眠れなかった。
明るくなるのを待って、あの場所に再訪した。
「ナ~ンダ!」
少し靄った朝だった。
昨夜のカリカリの場所の先には、廃家具や発泡スチロールで出来たシェルターが何棟も立っていた。
猫缶やカリカリも堂々と見える場所にストックされ、気付いた人が開けて与えるシステムになっているようだ。
奴らといえば、テトラや防波堤の上で「今日も、明日も生きてますよ」みたいに何食わぬ顔で身繕いしてるし、、、
冷静に考えれば、あれだけの数の猫が飢え死に寸前で此処に捨てられたんじゃない事ぐらい分るけど、、、
茶トラに選ばれた私が、あの子達の空腹を満たしたのは事実だし、、、
とにかく私は、少年の片思いみたいなセツナイ一夜を過ごした。
「デジタル写真の実態の無い儚さ&猫達のつかみどころの無い存在感&海への幼い頃からの憧れ」
何の脈絡も無く、私の中でそれらがリンクし、イメージがドンドン膨らんでしまった。
そう、物語の扉を開けてしまったのだ。
<つづく>