2025年5月27日火曜日

【LIFE 写真展によせて: 004】 衝撃。

  ヤバイと思った。


10枚位撮れただろうか。

茶トラは、1分程私を見定めるとクルッと向きを変え帰って行く。


「何?」

訳も分らず、とにかく後を追った。

枯れ草の空き地の向こうは運河だった。

まるで「ついて来い」と言わんばかりに時々振り返りながら

彼女は来た時と同じように迷いも無く歩き続けた。


どこの空き地もそうだけど、ここも不法投棄の家具が散乱している。

そのせいで、見通しが利かない。

スチール製のオフィス棚が散乱した一角で彼女を見失った。


「うっ!」

そこには、若い猫達が多数、

冷たい海風に震えて、じっとうずくまっていた。

辺りは暗くなってきた。 

情況が把握出来ず、私はうろたえた。


「こいつらのご飯を何とかしないと、、、」


今まで野良猫にご飯などあげた事など無かった私が、

生まれて初めてそんな衝動に駆られた。  


自分でも不思議に迷いが無かった。

「弁当でもなんでもいいさ」 

急いで車を走らせ、コンビにに向かった。


コンビニで普通にキャットフードが売っているという事実を、
この時初めて知った。


〈つづく〉



2025年5月22日木曜日

【LIFE 写真展によせて: 003】 始まりは突然だった。

 2005年3月26日、衝撃的な出逢いは突然やってきた。


今日も海沿いの公園でたくさんの猫たちに出会ったけど、全然シャッターを切っていない。

安全な、無難な猫の写真を撮るんだったら、私じゃなくても良い。

空振りだっていい。

五感を駆使し、シックスセンスを頼りに歩き、待ち、疲れ果てて帰る。

それが私の撮影スタイルだから、それでいいのだ。

夕方の渋滞を避けようと、早々に切り上げ帰途に着いた。

フロントガラス越し、枯れ草に覆われた空地の向こうの夕日が綺麗だった。

「ここに猫がいたら絵になるのにな~」

人家も無く、倉庫ばかりで人影も無いこんな場所に、野良猫がいるはずも無い。

誰もがそう思うような場所だった。

「野良猫」は野生動物じゃない。  

毎日、優しい人にご飯を貰わなければ生きていけない。

人々の暮しのちょっとした隙間でひっそりと生きているのだから、

こんな生活感の無い埋立地にいるはずも無い。


でも、どうしても、確認したかった。


路側帯に車を止めて、EOS20DにEF70-200mmを付けて、海の方へ歩いてみた。 

そう、撮る気満々で。

「やっぱり!」

夕日の向こう側から、茶トラが悠々とこちらに向かって歩いて来た。  

その「映像」は、まるで映画のワンシーンのようだった。

突然の出会いに、マンガのように震えが止まらなかった。

不思議と、こんな時はマニュアルフォーカスでも歩いてる猫にジャスピンになる。 

人間の集中力って凄いと思った。

〈つづく〉



 2007年 「東京湾岸のねこたち」キヤノンギャラリー 展示作品

2025年5月21日水曜日

【LIFE 写真展によせて: 002】

展示作品について


今回の個展では、シンプルにギャラリー所蔵のレンタルアルミフレームにオーバーマットを入れることに。
淡々と「並び」「組」「色」で、1点ずつ、塊で、空間で、作品を観て頂きたいと思い。

A2サイズまでなら自宅でプリント可能。
裏打ちシートは紙業者さんに特注で作ってもらい、自分で貼るので破格。
オーバーマットは安定の「金丸真」さんで、こちらも特注で切ってもらう。

問題は用紙。

ILFORDの「Gold Fibre Silk」をこれまで使用していたが、まさかの廃版に、、、
他の用紙には無い特殊なインクジェット受像層を使用しており、圧倒的な再現性があったが
特殊なコーティング故に材料供給が停止し廃版になってしまったようだ。

そこで、ハーネミューレ、イルフォードのファインアート紙、そして局紙と改めて色々テストしたが、総合的にみて、「Silk」ほどの表現力は無いが「Gold Fibre Gross」と決めた。

まだ会期まで間があるが、円高事情もあるのだろうか、ドイツからのインクジェット用紙供給が細すぎて日本国内に数箱しか在庫が無い状況。販社に掛け合い5月入荷分から何とか4箱購入することが出来てホッと一息。

A2サイズ25枚入り×4箱で、普及機デジカメボディが買える価格(苦笑)、写真展はとてもお金がかかりますね、、、

〈つづく〉

 


2025年5月20日火曜日

【LIFE 写真展によせて: 001】

 ギャラリーの公募審査用に(猫写真で)応募したのは7年ぶりだろうか。


気の置けない仲間とマグロ食べ放題の居酒屋で終電まで語り合い。
猫の写真について、写真展について、あーでもない。こーでもない。

それならばいっそのこと、
お互いにそれぞれの立ち位置と成果をしっかりと確認してみよう!

『そうだ、メーカーギャラリーの公募に出そう!』

私の場合は、締め切りまでもう2週間だったので、ヨドバシ.comで用紙とインクを急ぎしこたま買い込み。
ブックが完成したのが2024年9月29日で、そのまま宅急便で送って締め切りの9月30日に滑り込みセーフ(苦笑)

意外に結果は早く出ました。
3週間後に「写真展を開催していただくことになりました」とあっさりとした内容のメールが来て。

猫写真を撮り始めたのが2005年、活動20年の節目に
初めて使ったカメラ(フィルム)「OM-1」のメーカーの流れをくむ、新装オープンして10年の節目のギャラリーで個展。
感謝デス。

尚、あの時マグロを食べながら呑み交わした友人も、有言実行で2025年9月に
某カメラメーカーギャラリーでの個展開催が決まりました。

嬉しさ2倍!ありがとう!

〈つづく〉



2025年5月19日月曜日

【LIFE 写真展によせて: 000】

先ずは、名刺代わりに星野の過去個展と代表的な企画展のアーカイブをお知らせいたします。

■主な個展■

2007年3月~「東京湾岸のねこたち」
      キヤノンギャラリー銀座他5都市巡回 (第17回 林忠彦賞 最終候補作品展)

      https://ginza.keizai.biz/headline/322/


2010年2月  「光の中で」~東京湾岸のねこたち~ 
       エプソンギャラリーエプサイト(スポットライト制度 第1回対象作品展)    https://www.epson.jp/showroom/marunouchi/epsite/gallery/koubo/spotlight/special_01.htm

2010年2月~ 「東京湾岸のねこたち」
       キヤノンギャラリー銀座 他2都市巡回
                 http://wanganneko.cocolog-nifty.com/blog/2010/02/post-c650.html


2011年6月  「東京湾岸のねこたち」
       ギャラリールデコ 
       ※ギャラリー4フロアーを貸し切り4タイトルの合同写真展            

       https://tngphotoex.exblog.jp/16152895/

       

2013年8月  「海猫夢幻~東京湾岸に生きる猫たちの記憶~」 
       コニカミノルタプラザ 

       https://www.itmedia.co.jp/dc/articles/1602/18/news010.html


2015年11月 「東京湾岸のねこたち 2015」
       横浜赤レンガ倉庫1号館1階 
       ※企画展「横浜赤レンガ倉庫ねこ写真展」ブースにて約250点の作品を展示

       https://www.hamakei.com/headline/9644/


2016年2月  Cats on the shore ~海辺に生きる猫たちの記憶~ 
                              コニカミノルタプラザ

       http://wanganneko.cocolog-nifty.com/blog/2013/08/cats-on-the-sho.html


2019年10月  「猫皆幻化」
                               NineGallery 

       https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000042876.html

 

2023年5月    「夜汽車の旋律」 (※鉄道モチーフ)
       富士フイルムフォトサロン東京/大阪

                      https://fujifilmsquare.jp/exhibition/230505_02.html



2024年8月  「東京湾岸のねこたち」~The last chapter~
       富士フォトギャラリー銀座

       https://www.walkerplus.com/article/1212135/ 


私のライフワークでもあり、代名詞にもなった「ねこ写真展」シリースの情報です。

2015年 「横浜赤レンガ倉庫ねこ写真展」 
                   https://www.hamakei.com/headline/9644/

2016年 「横浜赤レンガ倉庫ねこ写真展2016」 
                    https://travel.navitime.com/ja/area/jp/guide/NTJeve0417/

2017年 「渋谷ルデコねこ写真展」
                    https://ledeco.net/?p=14565

2018年 「横浜赤レンガ倉庫ねこ写真展2018」 
                   https://www.fashion-press.net/news/39789

2020年「品川キヤノンオープンギャラリーねこ写真展」
https://personal.canon.jp/event/photographyexhibition/gallery/japancreate-cat

2020年「池袋ギャラリー路草ねこ写真展」
                 https://gallery-michikusa.jp/archives/201015/

2023年「品川キヤノンオープンギャラリーねこ写真展2023」
 https://personal.canon.jp/event/photographyexhibition/gallery/japancreate-cat-2023

2024年 「ねこ写真展@CP+2024」
                  https://www.cpplus.jp/2024/off-highlight/

2025年 「ねこ写真展@CP+2025」
                   https://www.cpplus.jp/off-highlight/off-highlight02.html

2026年 -coming soon-



2024年12月9日月曜日

耀の路

2025年7月に自身7回目となるメーカーギャラリーでの個展開催が決まりましたので、
写真展のタイトルに合わせてブログのタイトルも変更しました。

東京湾岸に生きる猫たちにテーマを絞り撮影して20年の節目の写真展。
慢心せず、ブレず、ひた向きに一本の細い「路」を歩いてきました。
どうそ宜しくお願い致します。

尚、「夜汽車の旋律」も継続して鋭意撮影中です。
2~3年後には纏まった形でご覧頂きたいと思っていますので併せて宜しくお願い致します。

まだまだ「長い旅」が続きそうです。



Canon EOS R5 MarkⅡ+RF70-200mmF2.8LIS
1/20sec f/2.8 ISO6400

2024年12月8日日曜日